経営・管理
経営・管理
本邦において貿易その他の事業の経営を開始し若しくは本邦におけるこれらの事業に投資してその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事し又は本邦においてこれらの事業の経営を開始した外国人。若しくは本邦におけるこれらの事業に投資している外国人に代わつてその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営若しくは管理に従事する活動を除く。)
経営・管理とは?
「経営・管理」ビザは、外国人が日本で会社の経営や管理業務を行うことができるように設けられたものです。
経営・管理の在留期間
在留期限は5年、3年、1年、4月または3月のいずれかが付与されます。
経営・管理の具体例
「経営・管理」の具体例は次のとおりです。
- 日本で事業の経営を開始してその経営を行い、又は、当事業の管理に従事する活動
- 日本で既に営まれている事業に参画してその経営を行い、又は、当事業の管理に従事する活動
- 日本で事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わってその経営を行い、又は、当事業の管理に従事する活動
つまり会社の経営者や管理者といった方が該当します。
※経営者には、代表取締役、取締役、監査役等の役員が含まれます。
※管理者には、部長、工場長、支店長等といったクラスの方が含まれます。
経営・管理の活動範囲
「経営・管理」は入管法で次のように定義されてれています。
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)入管法別表第1の2の表「経営・管理」より
用語の解説
ア.「本邦において貿易その他の事業の経営を行い」とは
具体的には次のようなケースです。
①日本において活動の基盤となる事務所等を開設し、事業の経営を開始して経営を行うこと
②日本において既に営まれている事業の経営に参画すること
③日本において事業の経営を行っている者に代わってその経営を行うこと
経営・管理の要件
「経営・管理」の要件は3つ。
いずれにも該当する必要があります。
※「経営・管理」の上陸基準省令1~3号より
1号
事業を営むための事業所が日本に存在すること。
ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が本邦に確保されていること。
1号の解説
第1号は活動場所に関する規定で次の両方を満たすことが必要です。
- 経済活動が単一の経営主体のもとで、一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
- 経済活動・生産活動・サービスの提供などが、人及び設備を有して、継続的に行われていること。
2号
申請に係る事業の規模が次のいずれか(❶~❸)に該当していること。
- その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する2人以上の常勤職員が従事して営まれるものであること。
- 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
- AまたはBに準ずる規模であると認められるものであること。
2号の解説
- 第2号は事業規模についての基準で、❶から❸までのいずれかに該当する必要があります。
- ❶は申請人以外に2人の常勤職員が必要ということです。常勤職員は日本人・永住者・日本人の配偶者・定住者・永住者の配偶者のみが対象です。
- ❷は事業が会社形態を前提とする基準で500万円以上の出資額が必要だということです。
- ❸は❶及び❷のいずれにも該当しない場合は、❶又は❷に準ずる規模であることを基準とするものです。
「準ずる規模」であるためには、事業の規模が実質的に❶や❷と同視できるような規模である必要があります。- ❶に準ずる規模として、例えば、常勤職員が1人しかいないような場合に、もう1人を雇用するための費用として概ね250万円が投下して営まれているような事業の規模がこれに当たります。
- ❷に準ずる規模として、例えば、外国人が個人事業主として事業を開始する場合に、500万円以上を投資して行うような事業の規模がこれに当たります。
なお、この場合の500万円は事業に必要な次の①から③に当たることが必要です。
① 事業所の確保:当事業を行うための事業所として使用する施設確保の経費
② 雇用する職員の給与等:役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当事業所で雇用する職員に支払われる報酬経費
③ その他:事業所に備え付ける事務機器購入、および事業所の維持に必要な経費
3号
申請人が事業の管理を行おうとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
3号の解説
- 第3号は外国人が事業の管理を行う場合の基準です。
3年以上の事業の経営、または管理の実務経験があることと日本人と同等額以上の報酬を受けることが必要です。 - 括弧書きにより、日本や外国の大学院で経営又は管理の科目を専攻した期間は、「実務経験」期間に算入されます。例えば、2年間の経営科目専攻+1年の実務経験 → 実務要件OK、3年の経営科目専攻 → 実務要件OKとなります。
- 事業の管理を行おうとする場合にも1号と2号の要件に適合することが必要です。
経営・管理の必要書類
【申請に必要な書類】
必要書類 | 説明 | 審査のポイント |
申請人が海外在住の場合:在留資格認定証明書交付申請書申請人が日本在住の場合:在留資格変更許可申請書 | 入国管理局で用紙を用意しています。法務省のホームページから取得することもできます。 | ・空欄・誤り・虚偽がないように注意! |
証明写真 | 縦4cm×横3cm、1枚申請前3か月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの | ・裏面に名前を書いて申請書に貼り付けます |
申請人が海外在住の場合:返信用封筒申請人が日本在住の場合:なし | 定形封筒に宛先を明記し、392円分の切手(簡易書留用)をはりつける | |
申請人が海外在住の場合:パスポートのコピー申請人が日本在住の場合:パスポート・在留カード(原本を提示) | パスポートのコピーは顔写真が載っているページと出入国スタンプが押されているページすべて | |
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録 | ・適正な役員報酬を定めているかチェックされます・月額20万円はほしいところです | |
履歴事項全部証明書 | 発行後3カ月以内のもの | |
出資金の出所を証明する資料 | 通帳のコピー、送金履歴、借用書など | ・犯罪に使用されたような怪しいお金ではないかどうかチェックされます。・どのようにして準備したお金なのかお金の流れ書類で証明します |
事業計画書 | ・事業の概要(事業目的、サービス内容、ターゲット、取り扱い商品例、など)・集客の方法・会社の強み、商品の特色・取引先一覧・収支計画(事業開始後、最低でも1年分の収支計画を立てます) | 事業計画書に記載した内容を証明する書類として、取引先との契約書、見積書、発注書も準備します |
事務所の賃貸契約書コピー※所有の場合は不動産登記簿謄本 | ・賃貸借契約の契約者は当該法人であること・使用目的が住居目的ではないこと・原則、契約期間が2年以上あること | |
事務所の写真 | ・建物の外観、エントランスの表示、郵便受け、事務所のドア(会社名の看板を掲載)、事務所内部・事務所内には、机、PC、電話、キャビネットなどが設置されていること | ・事務所の全体がわかるように数枚の写真を用意しましょう。・実態のある会社かどうかをチェックされます |
税務署への届出書の写し・給与支払事務所等の開設届出書・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
(注)場合によっては、上記以外の書類を求められるケースもありますのでご了承ください。
【更新に必要な書類】
必要書類 | 説明 |
在留期間更新許可申請書 | |
申請人の証明写真 | 縦4cm×横3cm、1枚申請前3か月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの |
パスポート及び在留カード | 原本提示 |
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) | |
直近の年度の決算書の写し | |
住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書 | ※1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの |
事業計画書 | ※赤字または債務超過が出ている場合のみ |
(注)場合によっては、上記以外の書類を求められるケースもありますのでご了承ください。
備考
- 業種の範囲について日本で適法に行われる業務であれば、その活動の業種に制限はない。
- 個人事業主であっても「経営・管理」の対象となり得るが、実務上はハードルが高い。
- 事務所の賃貸借契約においては、その使用目的が事業用、店舗等といった事業目的であること、及び、賃貸借契約者についても当該法人名義とし、当該法人による使用であることを明確にすることが必要。
- 月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等の施設を利用したりする場合には、それを合理的とする特別の事情がない限り、「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているとは認められない。
- 「バーチャル・オフィス」等と称する形態は、住所・電話番号を借り受け、電話にはオペレーターが対応し、郵便物は転送されるなど実際に経営又は管理を行う場所は存在していないため、事業所とは認められない。
- 賃貸中の住居の一部を事務所として事業を運営する場合は、実務上はハードルが高い。
ただし、次の点がクリアされれば認められるケースもある。
① 住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と当該法人の間で転貸借されることにつき、貸主が同意していること)
② 借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること
③ 当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること
④ 当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること
⑤ 看板類似の社会的標識を掲げていること - 事業の安定性・継続性は重要なポイントではあるものの事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るため、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断される。ただし、2年以上連続赤字の場合は、本人の活動内容を含め注意が必要となってくる。
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