採用後の労働保険と社会保険は?
外国人労働者の労災・雇用保険の手続きについて
●労災保険はどのような雇用形態で働く外国人であっても加入する
労災保険には日本人同様、一日限りあるいは1回限り1時間でも雇用するアルバイト労働者を含め、どのような雇用形態で働く外国人労働者であっても加入させなければなりません。
●雇用保険には留学生アルバイトとワーキングホリデー中の外国人は加入できない
日本人・外国人に限らず、雇用保険には次の2つの条件を満たす労働者は全て加入させなければなりません。
・31日以上の雇用見込みがあること
・1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること
ただし、この2つの条件を満たしても、教育機関(大学など)に通学する留学生が資格外活動許可を得て週28時間以内でアルバイトをするとき、またワーキングホリデーを目的に入国し、在留資格「特定活動」を保持している外国人が就労するときは加入することはできません。
外国人労働者の健康・厚生年金保険の手続きについて
●健康保険と厚生年金保険は、加入条件に該当したら、外国人も全て加入する。健康保険と厚生年金保険はセットで加入する
健康保険(事業所が適用される旧政府管掌の健康保険。国民健康保険ではありません)と厚生年金保険は、適用事業者(会社として健康保険に加入している事業所)で働いている場合、要件に当てはまったら2保険一括で加入しなければいけません。個人の事情で健康保険には入るが厚生年金保険には入らない、というように個人の意思で決められるわけではありません(社会保障協定の対象者を除く)。
なお、2保険共通の加入要件とは以下の通りです。以下要件を全て満たす場合は、事業主は日本人同様に外国人社員の意思に関わらず必ず加入させなければいけません。
・1週間当たりの決まった労働時間が時間が20時間以上であること
・1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上であること
・雇用期間の見込みが1年以上であること
・学生ではないこと(夜間・通信・定時制の学生は除く)
・以下のいずれかに該当すること
①従業員が501人以上の会社(特定適用事業所)で働いている
②従業員数が500人以下の会社で働き、社会保険に加入することに労使間の合意がある
外国人の厚生年金保険 〜脱退一時金制度〜
脱退一時金とは、日本に在住し日本の年金制度(国民年金・厚生年金・共済組合など)に6ヶ月以上加入して帰国する外国人に対して、払い込んだ保険料の額に応じて一定額を払い戻す制度のことです。国籍に関わらず日本の年金保険料を払ったすべての外国人に対して適用されます。この脱退一時金制度に関して、雇用主が入社時・在職中に何か手続きをする必要はありません。脱退して母国に帰国、あるいは海外に移住し、将来も日本に戻ってくる可能性がない外国人社員本人が申請手続きを行い、帰国後に支給される仕組みです。
◆脱退一時金を受け取る事ができる外国人の条件
・日本国籍を持っていないこと
・厚生年金または国民年金の加入期間が6ヶ月以上あること
・日本に住所がないこと
・障害年金などの年金を受ける権利を持っていない・かつて持たなかった物であること
◆脱退一時金の額
計算式について、日本年金機構のウェブサイトからご確認いただけます。ウェブサイトはこちら
◆脱退一時金の請求期間と請求条件
国民年金(厚生年金など)の被保険者資格を失った(日本に住所がなくなった)日から2年以内に請求しなければ、請求する権利がなくなります。
〜最後に〜
日本の社会保険への加入を望まない外国人には、脱退一時金の制度の説明をすることによって、スムーズに加入の理解を得られ手続きが進む事があるので雇用主として情報を入手しておくと良いでしょう。